不妊治療では、検査や薬、治療方法について話題になることが多くあります。
しかし、私が診療で何より大切にしているのは、「時間」です。
ここでいう時間とは、年齢だけではありません。
妊娠するまでにかかる期間そのものも、大切な治療の一部だと考えています。
時間は誰にも取り戻せません
女性の妊娠する力は年齢とともに変化します。
だからこそ、今の状態を正しく把握し、その時点で最も適した治療を考えることが大切です。
一方で、患者さんにとっての時間とは、年齢だけではありません。
何か月、何年と治療を続けることは、身体的な負担だけでなく、精神的な負担や仕事との両立、経済的な負担にもつながります。
私は、その治療期間そのものをできるだけ短くすることも、医師の大切な役割だと考えています。
通いやすさだけが負担軽減ではありません
最近では、夜間診療や休日診療など、「通いやすさ」を特徴とするクリニックも多くあります。
もちろん、それも患者さんにとって大切なことです。
しかし、たとえ通いやすくても、1年以上治療が続けば、その負担は決して小さくありません。
仕事を少し調整しながらでも、適切な治療方針によって4か月で妊娠し卒業できるのであれば、その方が患者さんの人生にとって価値があることも少なくありません。
私は、通院回数だけではなく、「治療期間そのもの」を短くすることを大切にしています。
最短で妊娠を目指すために
もちろん、すべての方が同じ治療で妊娠できるわけではありません。
大切なのは、年齢や卵巣機能、これまでの治療歴、ご夫婦の希望などを総合的に考え、その方に合った治療を適切な順番で進めることです。
必要以上に治療を急ぐことでも、反対に漫然と同じ治療を続けることでもありません。
一人ひとりに合わせた治療計画を立て、その時々で最適な選択を行うことが、結果として妊娠までの時間を短くすると考えています。
私たちが目指している治療
当院では、「なるべく少ない治療で妊娠・出産につなげること」を診療方針の一つとしています。
その結果、体外受精では妊娠までの平均胚移植回数は1.5回、妊娠した方の平均採卵回数は1.19回となっています。
また、一般不妊治療でも、妊娠された方はタイミング指導では平均2回、人工授精では平均1.55回で妊娠されています。
実際には、「思っていたより早く治療を卒業できました」と言っていただく患者さんが少なくありません。
それは、最初にしっかりと診断し、その方に合った道筋を考えながら治療を進めているからだと考えています。
時間を大切にすることは、人生を大切にすること
不妊治療は、人生の一時期だけの出来事ではありません。
仕事や家庭、将来のライフプランなど、多くの時間と深く関わっています。
だから私は、「妊娠すること」だけでなく、「妊娠までの時間」も大切にしたいと考えています。
一人ひとりに合った治療計画を立て、必要な治療を適切なタイミングで行い、できるだけ早く妊娠という目標にたどり着く。
それが、「一人ひとりに合った妊娠までの道筋を一緒に考える」という、当院の診療理念につながっています。