「検査を受けたのですが、この先はどうしたらいいですか?」
これは、診療の中で私が最も多く受ける質問の一つです。
これまで、テレビや動画などを通じて、妊活や不妊治療についてお話しする機会をいただいてきました。
限られた時間の中で、妊活を始めるタイミングやプレコンセプションケア、不妊検査の大切さなど、できるだ
け分かりやすくお伝えするよう心掛けています。
そのような情報発信を続ける中で、改めて強く感じるようになったことがあります。
それは、
一般的な知識だけでは、一人ひとりにとって本当に最適な答えは見つからない。
ということでした。
例えば、「AMHが低いと言われました」「ブライダルチェックを受けました」「年齢が気になります」と
いったご相談でも、その後の選択肢は決して一つではありません。
年齢、卵巣予備能、排卵の状態、卵管の状態、ご主人の検査結果、不妊期間、仕事やライフプラン。
こうした多くの要素を総合的に考えて初めて、その方に合った妊活や治療方針を考えることができます。
つまり、同じ検査結果であっても、導き出される答えは人によって異なるのです。
検査はゴールではなく、スタートです
近年、プレコンセプションケアやブライダルチェックを受ける方が増えています。
妊娠を見据えて早い段階からご自身の体を知ろうとすることは、とても大切なことです。
しかし一方で、診療では次のようなお話を伺うことが少なくありません。
「検査は受けました。でも、この先どうしたらいいのか分からない。」
実際には、その時点では妊娠の可能性を正しく評価するために必要な情報がまだ十分に揃っていないことがあります。
女性側の基本検査は終わっていても、卵管の評価が行われていなかったり、男性側の精液検査がまだだったり、排卵機能をさらに詳しく確認した方がよい場合もあります。
そのような状況で、「自然妊娠を目指しましょう」「体外受精に進みましょう」とお伝えすることは、私にはできません。
医学的に責任ある診療とは、必要な情報を揃え、その方にとって最も適した道筋を一緒に考えることだと考えているからです。
だから「妊活設計診断」を始めました
このような経験を重ねる中で生まれたのが、「妊活設計診断」です。
この外来では、検査結果をご説明するだけではありません。
現在の状況を総合的に整理し、
- 現時点で必要な追加検査はあるか
- 今後どのような選択肢が考えられるか
- 自然妊娠を目指す期間はどのくらいが適切か
- 人工授精や体外受精を検討するタイミングはいつか
などを、一人ひとりの状況に合わせてご提案します。
診察後には、その内容をまとめた「妊活設計レポート」をお渡ししています。
診察室でのお話だけで終わるのではなく、ご自宅でご夫婦と一緒に振り返りながら、納得して次の一歩を考えていただきたいからです。
私が大切にしていること
診療の中で私が最も大切にしているのは、「検査をすること」でも、「治療を始めること」でもありません。
その方にとって、今本当に必要なことを見極めることです。
必要以上に急ぐことも避けたい。
一方で、年齢や卵巣予備能を考えると、時間を大切にした方がよい方もいらっしゃいます。
だからこそ、誰にでも同じ説明をするのではなく、その方だけの妊娠までの道筋を一緒に考える診療を大切にしています。
妊娠への第一歩は、「検査」ではなく「設計」です
妊活は、検査を受けることが目的ではありません。
検査結果をどのように理解し、その先をどう進めるか。
そこまで考えて初めて、本当の意味で妊活が始まると私は考えています。
「何から始めればよいのか分からない。」
「検査結果をどう受け止めればよいのか知りたい。」
「自分に合った妊活や治療の進め方を相談したい。」
そのような方のために、当院では妊活設計診断をご用意しています。
一人ひとりに異なる妊娠までの道筋を、一緒に考えていきたいと思っています。